【第6話】設計開発が本格化

2018年の年末。初期設計が佳境にあった。大まかなデザイン方針が4パターン。これらそれぞれに細かい検討事項が数十か所あった。考えなければならない事が山積みだった。しかし解決が出来ると言う状況下では僕のエンジニア魂はフルアクセルになってアイデアを出しまくった。夜中も寝ていてもアイデアが沸き上がる。まさに降りてくると言う感覚だ。

明日の通常業務での体力がもたない程沸き上がるアイデアをメモに書きつけた。そして組み立てなおし、検討しF氏と意見を交換した。こうした作業を何度も繰り返していた。

検討項目も多岐に渡った。木材種類の選定、加工方法、組み方、利便性・・・あらゆる角度から検討を重ねた。

こうして初期の設計段階は100回を超える試算試行を重ねることなった。

こうした新製品の開発は我々のような零細企業ではシビアな戦いであった。そもそも専業の設計エンジニアはいない。試作にあたる担当テクニシャンもいない。元々予算はない、これに費やす時間も予定していない。

先に記述したような膨大な労力とコストは僕とF氏の心技体でほとんど賄われていた。

大手企業が資金力に物を言わせて開発すればおそらく半分以下の期間で開発出来る。但し、そもそもこのような小さな規模の市場には大手は参入しないだろう。

【設計課程でボツになった愛すべき図面】